賃金テーブルの設計|中小企業30名規模からの実例集
「うちの会社の給料って、相場より高いの?低いの?」——経営者からよく出る質問です。実はこの質問、賃金テーブルがあれば即答できる類のものです。
賃金テーブルとは、等級ごとに「下限〜上限」のレンジを設定した一覧表のこと。中小企業でも30名規模を超えたら整備しておくべき設計です。
賃金テーブルがあるメリット
賃金テーブルを整備する3つのメリット——
- 昇給の根拠が明確になる:「なぜこの人が今期5,000円昇給なのか」を説明できる
- 採用時の提示給与に迷わない:等級と経験から自動的に提示額が決まる
- 同業他社・地域相場との比較が可能:自社の競争力を可視化できる
賃金テーブルの設計手順
手順①:等級ごとのレンジを決める
役割等級制度(S1〜S5)の場合の例——
| 等級 | 下限 | 上限 | レンジ幅 |
|---|---|---|---|
| S5 | 50万 | 70万 | 20万 |
| S4 | 38万 | 52万 | 14万 |
| S3 | 28万 | 40万 | 12万 |
| S2 | 22万 | 30万 | 8万 |
| S1 | 18万 | 24万 | 6万 |
上位等級ほどレンジ幅を広く取るのが一般的です(実績による差をつけやすくするため)。
手順②:上下等級の重なりを設定する
S3の上限40万、S4の下限38万——上下等級で2〜4万円の重なりを持たせます。これにより、「S3で頑張っている人」がS4昇格直後の人より給与が高くなり得る、という納得感のある設計になります。
手順③:地域・業種相場と照らし合わせる
厚生労働省 賃金構造基本統計調査や転職サイトの平均年収データで、同業種・同規模・同地域の相場と比較します。自社レンジが相場の8割を下回るなら採用力に懸念、12割を上回るなら人件費負担に懸念——という目安で判断します。
昇給ロジック:定期昇給と査定昇給を組み合わせる
中小企業では、定期昇給+査定昇給の二段構えが運用しやすい設計です。
定期昇給(全員一律)
- 年1回(4月)に2,000〜5,000円程度の昇給
- 経済情勢・物価上昇に合わせて全員に適用
- 賃金テーブル全体の底上げ(テーブルシフト)
査定昇給(個別評価)
- 評価ランクS:+15,000円
- 評価ランクA:+10,000円
- 評価ランクB:+5,000円
- 評価ランクC:0円
- 評価ランクD:-(昇給なし or 降格検討)
評価ランクは半期に1回の人事評価で決定します。
昇格時の昇給ルール
昇格(S2→S3など)時の昇給は、等級下限まで一気に引き上げるか、現給+△△円かのどちらかで設計します。
例:S2上限28万円の社員がS3に昇格 → S3下限28万に到達済なら、+2〜3万円の昇格手当をプラス。
賃金テーブルの見直しサイクル
賃金テーブルは3年に1回を目安に見直します。見直し時の検討ポイント——
- 地域相場との乖離
- 自社の業績との整合性
- 新規採用時の競争力
- 在籍社員の昇給余地
よくある失敗
失敗①:レンジが狭すぎて昇給余地がない
S3の上限とS4の下限が同じ金額だと、S3で頑張っても給与が上がりません。等級内で4〜6万円の幅を確保します。
失敗②:地域相場を無視している
都心と地方で同じ給与テーブルを使うと、都心では採用力不足、地方では人件費過大に陥ります。勤務地別に複数テーブルを持つのも選択肢。
失敗③:定期昇給だけで査定昇給がない
評価制度があっても、給与に反映されないなら社員から見れば「形だけの評価」。査定昇給を組み込むことが信頼性のカギです。
まとめ
中小企業の賃金テーブル設計は、等級レンジ → 上下等級の重なり → 地域相場との照合 → 定期+査定昇給ロジックの順で組み立てます。30名規模を超えたら整備を始めるタイミングです。
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